薬剤師が伝える!『薬との上手な付き合い方』

薬局で働く薬剤師が、地域住民に対して「お薬との上手な付き合い方」という講演会を実施していく中で、お薬を飲まれる方々が『本当に知りたい事』を講演会での質疑を通して知ることができました。その経験から、本当に大切なお薬との付き合い方を、様々な視点からお伝えしていき、安心・安全に服薬できるような情報を提供していくブログです。

肝臓が悪くなると体が黄色くなる?

お薬とお付き合いのある皆さん、こんにちは!

 今回も、肝機能の血液検査項目である、『ビリルビン』についてお伝えします!

結構、肝機能の血液検査項目は多いんですね!

 

<本日の内容>

・肝臓が悪くなると体が黄色くなる?

・黄疸とは

・ビリルビンから分かる事

 

肝臓が悪くなると体が黄色くなる?

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タイトルにもありますが、「肝臓が悪くなると皮膚が黄色くなる」って聞いたことありませんか?

ビリルビンとは、ヘモグロビンから作られる色素で、胆汁の成分になっています。

黄疸になると体が黄色くなるのはビリルビン色素が増加するためです。

黄疸になると、何となく身体が黄色っぽく見える、尿の色がひどく濃い、白目の部分が黄色く色づいて見える等の症状が現れます。

したがって、この血中のビリルビンの量をみることで、黄疸が出る前に障害を知ることができ、また障害の種類も推定することができます。

 

黄疸とは

先ほどもお伝えしたように、黄疸になると、何となく身体が黄色っぽく見える、尿の色がひどく濃い、白目の部分が黄色く色づいて見える等の症状が現れます。

一般に病的な黄疸をみる場合には、全身の倦怠(けんたい)・疲労感、皮膚のかゆみ、感冒様症状、発熱、尿の色が濃くなるなどの、他の症状を伴います。


黄疸はその原因により以下のようにわけられます。
  1. 溶血によるもの(溶血性貧血)
  2. 肝細胞の障害によるもの(肝細胞性黄疸)
  3. 胆汁(たんじゅう)の流れが障害されるもの(閉塞性黄疸)
  4. 体質性のもの(体質性黄疸)

ビリルビンから分かる事

<基準値>

ビリルビン…0.2~1.2mg/dl

直接ビリルビン…0.4mg/dl以下

間接ビリルビン…0.8mg/dl以下

 

ビリルビン赤血球の中のヘモグロビンからつくられます。赤血球の寿命は約120日ですが、寿命が尽きて破壊されるときヘモグロビンはヘムとグロビンに分解され、酵素のはたらきでヘムとビリルビンに変化します。これを「間接型ビリルビン」と呼んでいます。

このビリルビンは肝臓へ運ばれ、再び酵素がはたらいて「直接型ビリルビン」と呼ばれるもの変化し、便の一部となったり、腎臓で尿の一部となって排泄されます。間接型と直接型を合わせたものを「総ビリルビン」といいます。

 

間接型ビリルビンが高値のとき

溶血性貧血や肺梗塞、敗血症、甲状腺機能低下症などの疑いがあります

 

直接型ビリルビンが高値のとき

胆管・胆道系の詰まりの疑いがあります

 

直接型が高値で、中間型高ビリルビン血症のとき

肝細胞に異常があるとみられ、急性肝炎や慢性肝炎、肝硬変などが疑われます

 

一般的な血液検査では、総ビリルビンのみ調べることが多いですので、「間接型ビリルビン」や「直接型ビリルビン」という検査項目を目にすることはあまりないかもしれません。

ビリルビンが高ければ、どちらか、若しくは両方とも高値という事が考えられますので、AST・ALT、γーGTPなどのほかの肝機能検査の結果と合わせて検討する必要があります。

さらに必要に応じて、超音波検査や肝生検などの精密を検査を行なう場合があります。

お酒飲みすぎの方、肝機能大丈夫!?

お薬とお付き合いのある皆さん、こんにちは!

前回に引き続き、肝機能についてです。

今回は、特に気になる方が多いんじゃないかな?と思うγーGTPについて詳しく見ていきましょう!

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<今回の内容>

・γ-GTPについて

・上昇の原因

・数値を下げるためには

 

γ-GTPについて

<基準値>

男性…50IU/l以下

女性…30IU/l以下

 

 

γ(ガンマ)-GTPは、肝臓の解毒作用に関係している酵素でアルコールに対して敏感に反応します。腎臓に最も多く含まれ、次いで膵臓、肝臓、脾臓、小腸にもみられます。

男性は女性よりやや高値です。検査当日の飲食は普通にとってかまいません。ただし、検査前日のアルコールは控えてください!

さすがに、私は検診の前日にお酒を飲む勇気はないですが、、、

 

アルコール以外の食事や運動などはありませんが、個人差が大きく、年齢や性別でも差があります。

たとえば女性ホルモンにはγ-GTPの産生や働きを抑える作用があるため、とくに妊娠後期には低くなります。

 

異常値の場合は、AST・ALPなど、ほかの肝機能検査結果と併せて診断する必要があります。AST・ALPも上昇している場合は、肝炎、肝硬変、肝臓がんといった疾患が疑われます。

γ-GTPのみが上昇している場合は、胆道の異常が疑われます。結石や腫瘍などで胆道が閉塞していると、炎症(胆管炎)を招いてしまうので、早期の治療が必要です。

 

上昇の原因

γ-GTPは肝臓だけでなく、腎臓や脾臓、小腸などに含まれている解毒に関わる酵素です。

おもに、肝臓や胆管の細胞に傷がつき、死滅したときに血液中で上昇すると考えられています。

 

とくにアルコールに敏感に反応し、しかも肝臓や胆道の病気があると、ASTやALPなど、ほかの酵素よりも早く異常値を示す特徴があるので、この検査は一般にアルコールによる肝臓障害の指標となります。

 

一般的には、「γ-GTPが高いですね~」と言われたら、「お酒飲みすぎてるからかな?」と思うんじゃないでしょうか?

先述した通り、アルコールが原因の場合には、早い段階で数値が高くなるのでとても重要な指標だと思いますが、まれに、「お酒飲まないんですけど、なんで高いんでしょうか?」と相談される患者さんがいらっしゃいます。

 

その場合、一番最初に疑うのは、「お薬」です。

 

このブログ最初のほうにもお伝えしていましたが、肝臓はお薬の代謝に係わるため、肝機能障害を引き起こすことがあるのです。

どのような薬でも副作用が出る可能性があり、漢方やサプリメントでも人によっては肝機能障害を起こし、γ-GTPが上昇する方もいらっしゃいます。

実際、某ドラッグストアの肝臓を元気にするというプライベートブランドサプリメント?健康食品?を摂取したことが原因と思われるγ-GTPの上昇という患者さんと対応したことがあります。

 

また脂質の多い食事や運動不足などにより肥満、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が増加していますが、過剰なエネルギー摂取は、肥満だけでなく、肝臓への脂肪沈着の原因にもなり、放っておくと脂肪肝につながります。

 

 

数値を下げるためには

今までの話から、γ-GTPが高いと言われた場合、

・アルコールを過剰摂取していないか

・肥満ではないか

・服用している薬剤はないか

 

以上を振り返ってみてください。

 

アルコール・肥満、この二点に関しては実に簡単ですね!原因が明白なので、あとは自分の意思次第!?といったところでしょうか!

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「簡単ですよね!」と言っておきながら、私自身、お酒大好きですし、少しぽっちゃり?メタボ寸前の状況ですので、簡単と言っておきながら、なかなか難しいのは百も承知です・・・

 

最後の、薬剤性の肝障害が実は一番厄介かな?と思います。

だいたい、お薬の内容が確認できれば、「これが原因かな?」というようなだいたいの目星を付けることはできるのですが、「100%この薬が原因」という事はなかなか断定できません、、、。

この辺りはお医者さんと薬剤師が連携して対応していくことが必要かなと思います。


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血液検査で肝機能をチェック!

お薬とお付き合いのある皆さん、こんにちは!

 

今回は、肝機能検査について詳しく見ていきましょう!

 

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肝臓は「沈黙の臓器」言われ発症しても自覚症状が出ないことがしばしばあります。

自覚症状が出たときにはすでに・・・なんてことも

そのため、脂肪肝などは肝炎、肝硬変、肝がんと進行する危険があるので手遅れになる前に早期発見治療せねばなりません。

定期的に検査を受け普段から物言わぬ肝臓にも関心を持っておくことが大事になります。

また暴飲暴食を慎み、バランスの良い食事をとり、適度な運動を生活に取り入れることが必要です。

 

<本日の内容>

・AST(GOT)

・ALT(GPT)

・ASTとALTの関係性

 

AST(GOT)

<基準値>

40IU/l以下

 

ASTはアミノ酸をつくりだす酵素の一つです。

体のさまざまな臓器に含まれていますが、特に肝臓と心筋や骨格筋、腎臓の細胞に多く含まれています。

そのため、値の増減が必ずしも肝臓に関係しているとは限らず、AST値のみが高値を示す場合は、肝臓以外の病気である可能性もあります。
肝臓に関する情報を得るには、ALTも一緒にチェックする必要があります。

しかしながら、ASTは肝細胞に最も多く含まれていますので、この数値の異常ではじめて肝臓病が発見されることがあります。

これらの臓器に障害が起こると、障害された細胞に比例した量のASTが血液中に漏れ出します。

 

・AST 500IU/l以上 … 急性肝炎、心筋梗塞など

・AST 100~500IU/l … 肝炎、肝臓がん、アルコール性肝障害、心筋梗塞など

・AST 33~100IU/l … 慢性肝炎、肝硬変、アルコール性肝障害、心筋梗塞など

・ASTのみ高値の場合は、心筋梗塞など肝臓以外の疾患が疑われます。

 

 

ALT(GPT)

<基準値>

30IU/l以下

 

AST同様、臓器に障害が起こると、障害された細胞に比例した量のALTが血液中に漏れ出すことにより、数値が高くなります。

ALTもASTと同様、肝臓、腎臓、心筋、骨格筋など細胞に含まれていますが、とくに肝臓に多いことから、急性肝炎や慢性肝炎、肝硬変などの肝疾患を診断するうえで重要な検査になります。

 

・ALT 500IU/l以上 … 急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪

・ALT 100~500IU/l以上 … 急性肝炎、慢性肝炎

 

 

ASTとALTの関係性

ASTとALTの比率も実は重要になります。

 

・AST <  ALT(AST/ALT比 0.6前後) … 慢性肝炎、脂肪肝

・AST  > ALT(AST/ALT比 2.0以上) … アルコール性肝障害、肝硬変

        (AST/ALT比 3.0以上) ...  肝臓がん

 

このような目安があります。

 

ALTは、ASTと似た変動を示すため、両者に異常値がみられた場合は肝障害を疑い、精密検査を行ないます。

急性肝炎や劇症肝炎などでは、ASTの場合と同様に、急性期の発症1~2週以内の経過が重要になるので、連日繰り返してALTを測定することがあります。

ASTの上昇が強く、ALTの上昇が軽度のときは、心筋や骨格筋の障害を考えます。

 

ほかの肝機能の検査値についてはまた次回!


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腎機能の血液検査を見てみよう

お薬とお付き合いのある皆さん、こんにちは!

 

今回は、腎機能を診るための血液検査結果を深堀していきましょう!

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<今回の内容>

・クレアチニン(Cr)

・eGFR(推算糸球体ろ過量)

・BUN(尿素窒素)

 

 

クレアチニン(Cr)

基準範囲

(男性)基準範囲:1.00以下 要注意:1.01-1.29 異常:1.30以上

(女性)基準範囲:0.70以下 要注意:0.71-0.99 異常:1.00以上

 

クレアチンリン酸が代謝されたあとにできる老廃物がクレアチニンです。

クレアチニンは腎臓でろ過されて尿として排出されるため、血中のクレアチニンの濃度が上昇していることは腎臓の機能が低下しているという事が言えます。

 

クレアチニンが高値を示す場合、腎臓に何らかの異常が起きていることが考えられます。

急性腎臓病・慢性腎臓病(CKD)・心不全などが疑われます。(心不全が起きると、腎臓に血液が流れにくくなって、老廃物が排泄できなくなってしまいます)

 

特に慢性腎臓病(CKD)は近年増加している病気で、とても注目されています。いわゆる、CKDが進行すると最終的には「人工透析」が必要になってしまうからです。

人工透析は、その方の人生において大きな負担になりますし、それだけでなく、医療費が膨大にかかるという点も大きな問題点となっています。

 

日本においては1,330万人もの患者が存在するとされています。

腎臓の機能不全が慢性的に続く病気で、夜間頻尿・けん怠感・むくみ・息切れなどの症状が現れますが、自覚症状が出た際にはすでに病はかなり進行しているといえます。予防するためには、定期的な健康診断が欠かせません。

 

 

eGFR(推算糸球体ろ過量)

<正常値>

eGFR>90

 

クレアチニンの検査は腎臓の機能を調べる上でポピュラーな検査ですが、数値は筋肉の量に左右されるため男女差が大きいです。

そのため、激しい運動などをしている方などは、クレアチニンが高く出ることがあります。

また腎臓の機能が半分程度まで低下しないと高い値を示さないという欠点があります。

そのため、近年ではより精度の高い検査であるeGFRの検査を追加して行うことが多くなってきました。

これは、

eGFR(ml/分/1.73m2)=194×Cr-1.094×年齢(歳)-0.287

(女性は×0.739)

 

このように計算されます、、、。クレアチニンしか検査結果がない場合は、インターネットで「eGFR」で検索すると、「年齢」「クレアチニン」を入力するだけでeGFRが分かるサイトが色々と出てくるため、そちらで計算してみてください!

 

90>eGFR≧60の場合

正常または軽度低下

腎臓機能は正常または軽度に低下していると推定されます。

尿蛋白などがない場合は心配ありませんが、生活習慣病などあれば注意です。

蛋白尿などの尿検査以上が続いている場合は、慢性腎不全が疑われますので、受診したほうがいいかもしれません。

 

60>eGFR≧45の場合

腎機能は軽度~中等度に低下していると推定されます

慢性腎不全が疑われますので、医療機関を受診しましょう。

 

45>eGFR≧30の場合

 腎機能は中等度~高度に低下していると推定されます。

慢性腎不全が強く疑われますから、速やかに医療機関を受診しましょう。

 

30>eGFR≧15の場合

 腎機能は高度に低下していると推定されます

 腎機能低下による様々な異常を発症している可能性が高い状態にありますので、受診している状態だと思います。

もし腎臓専門医に診察を受けていないようでしたら、かかりつけ医とご相談したほうがいいかもしれませんね。

 

15>eGFRの場合

末期腎不全と推定されます。

透析治療などを要する直前の状態と言われています。

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以上、CKD診療ガイドを参考に分類分けしていますが、上記は単純にeGFRでのみ分類していますので、参考程度に見ていただければと思います。

 

BUN(尿素窒素)

基準範囲

8.0~20.0mg/dl

 

体内のたんぱく質の老廃物が尿素窒素で、肝臓でアンモニア二酸化炭素をもとに作られ、尿として排出されます。

腎機能のはたらきが衰えると、ろ過しきれない分が血液中に残り、尿素窒素の値が上昇します。

 

腎機能が低下しているときだけでなく、脱水やむくみ、尿路結石や尿路の腫瘍などの閉塞性尿路疾患があると、たまった尿中の尿素窒素が血液に逆流して高値になることもあります。

 

数値が21以上で高ければ腎臓を、7以下で低ければ肝臓をの病気を疑います。

腎臓の機能が低下していると、尿素窒素の排出量が減って体内に残り、血液中の濃度が上昇、つまり数値が高くなります。

逆に肝臓でつくられる尿素窒素量が減ると、濃度は低下、つまり数値が低くなります。


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貧血などの数値を見てみよう!

 

お薬とお付き合いのある皆さん、こんにちは!

 

今回も、血液検査項目の中身を深堀していきましょう!

 

<今回の内容>

・赤血球数(RBC:Rは「赤」の「red」の頭文字)

・ヘモグロビン(Hb・血色素測定)

・ヘマトクリット(Ht)

・白血球数(WBC:Wは「白」の「White」の頭文字)

・その他(MCV・MCH・MCHC)

 

赤血球数(RBC)

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基準範囲

男性:430~570万/μl

女性:390~520万/μl

 

赤血球はご存知の方が大半だと思います。

赤血球が少なければ「貧血」ですし、逆に赤血球が多ければ「多血症」と言われます。

ちなみに「多血症」は、血液の流れが悪くなって赤血球がくっつき、血管が詰まりやすくなってしまうので要注意です。

全身状態を把握する上でも有効なため、血液一般検査の基本項目のひとつとなっています。

慢性的な倦怠感や息切れ、動悸で貧血が疑われる場合には、必ず行われます。

 

男女とも、300万個以下の場合は、明らかな貧血と診断されます。逆に赤血球の数が増えすぎて600~800万個になった場合は多血症といわれます。

あとは、脱水状態の時も赤血球が多くなります。

 

 

ヘモグロビン(Hb・血色素測定)

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基準範囲

男性:13.0~16.6g/dL

女性:11.4~14.6g/dL

 

ヘモグロビンとは人間の血液中に含まれているたんぱく質の一種で、主に鉄を含む「ヘム」とたんぱく質でできている「グロビン」からできています。

このうち「ヘム」は酸素と結びつく力が強く、全身に酸素をいきわたらせる大切な役割を担っています。血液が赤いのもこのヘムが赤色素を持っているからです。

ヘモグロビンが低くなっている場合は、赤血球と同様「貧血」が疑われます。

逆に、ヘモグロビンが高くなっている場合は、これも赤血球同様、多血症や脱水症状などが考えられます。

それ以外にも、喫煙やストレスなどによっても数値は上昇します。

 

 

ヘマトクリット(Ht)

基準範囲

男性:38.5~48.9%

女性:35.5~43.9%

 

 

ヘマトクリットとは、血液中に血球の体積がどれだけの割合で存在するかを示す数値です。

血液は赤血球・白血球・血小板といった細胞成分および血しょうで構成されています。ヘマトクリットはそんな血液中の血球(細胞成分)の体積比を示す数値です。

血球の体積比としていますが、血球はそのほとんどが赤血球(約96%)であるため、実際には赤血球比として考えられています。

 

ヘマトクリット値が男性35.4~38.4、女性32.4~35.4の場合は「要注意」、さらに男性35.3以下、女性32.3以下の場合は「異常」となります。

ヘマトクリットが低い場合というのは血液が薄い状態、すなわち赤血球が少ないことを示しています。つまり貧血が疑われます。

 

逆にヘマトクリット値が男性49.0~50.9、女性44.0~47.9で「要注意」、男性51.0以上、女性48.0以上で「異常」な高値と言えます。

ヘマトクリットが高い場合は、血液が濃く、ドロドロになっていることを示しており、多血症の症状が疑われます。

脱水で見かけ上の多血になっている相対性多血症と、骨髄の異常による真性多血症があります。

前者であれば原因となる症状が解決されれば自然と元に戻りますが、後者の場合は専門医による治療が必要となります。

 

 

白血球数(WBC)

基準範囲

3,200~8,500/μl

 

白血球には大きく分けて5つの種類(好中球・好酸球・好塩基球・リンパ球・単球)があり、その役割も異なっています。それぞれが大切であり、どれか一つでも欠けてはいけません。

それぞれの働きを簡単に見てみましょう。

・好中球

白血球の大半は好中球です。血管外にいる細菌などの異物のもとに駆けつける機能と、それらを取込んで殺菌する機能を持っています。

好酸球

好酸球は特に寄生虫の感染の際に能力を発揮します。 しかし一方で、ぜんそくアトピーなどのアレルギー疾患の一因になりうるという側面もあります。

・好塩基球

好塩基球はアレルギー反応などに関与しているとされていますが、その存在意義や機能についての詳しい研究はあまり進んでいませんでした。しかし近年では、マダニに対する免疫を作る役割があることが明らかになりました。

・単球

単球はマクロファージともいわれ、好中球よりもやや長い時間血中に存在して、細菌だけでなく古くなった不要な細胞も食べて除去します。

・リンパ球

リンパ球は特にウイルスなどの小さな標的を攻撃する役目があります。骨髄やリンパ節、扁桃腺などのリンパ器官といわれる部位に多量に存在しています。

 

低い場合は2,600~3,100で「要注意」、2,500以下で「異常」、高い場合は8,600~8,900で「要注意」、9,000以上で「異常」としています。

白血球が基準値よりも多い場合は細菌感染・がん・白血病などの疑いが、逆に基準値よりも少ない場合は重症感染症再生不良性貧血の疑いがあります。

風邪や軽い感染症などでも白血球が高くなったりもします。

白血球数の数値に異常がでた場合は、さらに詳しい血液像検査を受診することをおすすめします。

 

 

その他(MCV・MCH・MCHC)

平均赤血球容積(MCV)

ヘマトクリット÷赤血球数で算出

赤血球の平均の容積、つまり大きさがわかります。

基準範囲

80~98 fℓ

 

平均赤血球色素量(MCH)

ヘモグロビン量÷赤血球数で算出

1個の赤血球に含まれるヘモグロビン量の平均値が得られます。

基準範囲

28~32 pg

 

平均赤血球色素濃度(MCHC)

ヘモグロビン量÷ヘマトクリットで算出

定量赤血球の中にどれくらいのヘモグロビンがあるかがわかります。

基準範囲

30~36 %

 

MCVが上昇しMCHCが正常

大球性正色素性貧血(悪性貧血といわれるものでビタミンB12葉酸の不足が原因)

 

MCVもMCHCも正常

正球性正色素性貧血(赤血球が脊髄で作られない再生不良性貧血赤血球が破壊される溶血性貧血など)。

 

MCVもMCHCも低下

小球性低色素性貧血(鉄欠乏性貧血のことで、鉄の欠乏によって起こり、貧血の大部分を占める)。


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脂質検査項目を見てみましょう!

お薬とお付き合いのある皆さん、こんにちは!

 

前回は、「血液検査結果は薬剤師に教えてね!」とお伝えしました。

 

血液検査データは安心・安全にお薬を服用していただくためには重要な要素ですので、ぜひ教えてくださいね!

 

せっかくですので、皆さんも自分自身の血液検査データをしっかり「見る」ことができれば、気を付けないといけないことなどにも気づくことができますので、それぞれ少し詳しく見て行きましょう!!

 

最近お腹が出てきた方は要注意!!

 

<本日の内容>

・LDL-C・・・悪玉コレステロール

・HDL-C・・・善玉コレステロール

・TG    ・・・中性脂肪(トリグリセライド)

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LDL-C(悪玉コレステロール

基準範囲

140未満

ただし120~139は境界域として治療対象

 

<内容>

数値が高いと動脈硬化の原因となり、心筋梗塞脳梗塞などの病気の原因となります。

脂や脂肪分を多くとりがちな食生活の欧米化の影響で、数値の高い人が増加しています。

 

悪玉コレステロールが増えると血管の内側を傷つけ、血管壁にどんどん入り溜まってしまうからです。

そして、本当に怖いのは溜まった悪玉コレステロールが酸化したとき。

酸化した悪玉コレステロールは、免疫細胞が“異物”と勘違いし、排除するために「プラーク」と呼ばれる“こぶ”をつくります。

このこぶが血管を狭くして「動脈硬化」という心筋梗塞などの原因となる状態を引き起こし、最悪の場合、命の危険に及ぶ可能性も・・・

 

では、悪玉コレステロールはどのようにして増えるのでしょう?

 

その原因ひとつとして飽和脂肪酸」の摂り過ぎがあります。

飽和脂肪酸は、バター・生クリームなどの乳製品やラード・肉の脂身などに多く含まれています。食生活を振り返ってみて、摂り過ぎている場合は、気をつけたいですね。
また、タマゴの黄身や魚卵にはコレステロールが含まれており、これらを控えることが悪玉コレステロールを下げることに繋がるので、数値が気になる人は意識してみてください。

 

HDLーC(善玉コレステロール

基準範囲

40以上

 

<内容>

血管内に付着する脂肪分を取り除き、動脈効果を防ぐことから「善玉コレステロール」と言われています。

数値が低いと、心筋梗塞脳梗塞などの病気を誘発してしまいます。

 

実は中性脂肪が多いと、HDLが減るのです。

血中での脂質は、中性脂肪コレステロールとタンパクを捏ねたリポタンパクという玉になっています。
 

血中の中性脂肪が多いと、中性脂肪を多く含むリポタンパクが増え、中性脂肪が少ないHDLが減るのです。

逆に中性脂肪が少なければ、HDLが多く作られます。ですから、まず肥満と中性脂肪の摂り過ぎを改善しましょう!!

 

TG(中性脂肪

基準範囲

150未満

 

<内容>

体内の脂肪の主な成分でエネルギーとして利用され、余った分は皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられます。

肥満、食べ過ぎ、飲みすぎで数値は上昇し、動脈硬化脂肪肝の原因になります。

 

一般的に女性よりも男性のほうが、数値が高くなる傾向があります。

 

中性脂肪が高い人は肥満状態にある場合が多いです。

 

肥満は生活習慣病の危険因子として、近年では注目されています。

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特に内臓脂肪が多い人(ウエスト周囲径が男性85cm以上、女性90cm以上)は、メタボリックシンドロームの疑いがあります。

メタボリックシンドロームは、肥満の人が高脂血症高血糖、高血圧など複数の症状をあわせもっている状態です。

この状態が長く続くと、脳梗塞心筋梗塞などを引き起こすリスクが高くなることが判明し、注目を集めています。

 

つまり、簡単に言うと“ダイエット”しないと!

 

っていう事ですね(^^;)

 

ちょっと太ってるかなぁ~という人は、まずは標準体重を目指しましょう!

 

標準体重の計算式です!

脂質異常症の改善には、必要なエネルギー量以上の摂取を抑え、適正体重を維持することが大切です。適正体重は、体格指数(BMI)で評価します。

 

BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

 

BMIが22を理想体重です。

つまり、上記の計算式を少しいじって

 

標準体重=22×身長(m)×身長(m)

 

という事になります!ちなみに私は身長が175cmなので、

 

標準体重=22×1.75(m)×1.75(m)

    =67.375kg

 

となります。

 

BMIが25以上で肥満となります。BMIを指標として、25以上の方は、適正なエネルギー量と栄養素バランスを守って減量するようにしましょう

 

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血液検査データを薬剤師にも見せて!

お薬とお付き合いのある皆さん、こんにちは!

 

お薬を飲まれている方、特に、内科の病気、生活習慣病や肝臓・腎臓の病気、肺や心臓などなどで治療されている方は、定期的に血液検査をしていると思います。

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最近ですと、お医者さんが血液検査のデータをコピーして渡してくれたりしますよね!?

 

でも、皆さん、その血液検査の結果データ見てわかりますか?

丁寧に解説がついている結果データもあれば、アルファベットが書いてあってその横に数字が書いてあるだけ、なんてこともありますよね、、、。

 

なんのこっちゃ?

 

こんなのもらっても分からないし意味なくない?

 

詳しく知りたいけど、先生に質問しづらいし、、、

 

こんなことありませんか?

 

基本的には、血液検査のデータをもらったら、薬をもらう際に

 

薬剤師に見せてください!

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もし、先生が印刷してくれなかったら、

 

「先生、印刷して欲しいです!」

 

ってお願いしてみてください。基本的には印刷してくれると思いますよ!

どうしても言いにくい場合はもちろん無理には大丈夫です。

 

でも、

 

薬剤師に見せても意味なくない?  

 

なんて思いますか?

薬剤師は薬を処方箋通りに渡すのが仕事でしょ?  って思ったりしてます?

 

まず始めに、

 

薬剤師も血液検査データを見て理解することができます!

 

薬の勉強だけでなく、病気の事ももちろん勉強していますので、たとえアルファベットと数字だけの検査データでも、

 

何の検査で、この数値は良いのか?悪いのか?

 

を見ることはできます!

 

そのため、検査データをもらっても「何が書いてあるかわからない」、でも「先生に聞きにくいなぁ」と思われている方は、ぜひ薬局で薬剤師に検査データの見方を聞いてください!

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次に、血液検査データをもらったら、たとえ自分で見てわかっても、薬剤師にも見せてください。

 

薬って、腎臓や肝臓の影響をすごく受ける場合があります。

 

もし、肝臓や腎臓がある一定以上悪かったら、通常の薬の量より減らす必要があったり、そもそも、その薬を続けることで余計に腎臓や肝臓を悪くしてしまう薬もあるため、同じような薬で肝臓や腎臓に負担をかけない薬に変更するなどの対応が必要になるのです。

 

このような判断をするためには血液検査データは非常に役立ちます!

 

薬剤師は、

皆さんに、安心安全にお薬を飲んでもらいたいと切に願っています!

 

そのためにも、血液検査データを見せていただく事は、とても重要だと思っていますので、よろしくお願いします!!

 

皆さん自身も血液検査データを見ることができるようになれば、自分の病気をより理解することにつながると思いますし、気を付けていかなければならないことも分かったりしますので、次回からは一般的な血液検査データの見方を何回かに分けてご紹介していこうかなと思います。


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