薬剤師が伝える!『薬との上手な付き合い方』

薬局で働く薬剤師が、地域住民に対して「お薬との上手な付き合い方」という講演会を実施していく中で、お薬を飲まれる方々が『本当に知りたい事』を講演会での質疑を通して知ることができました。その経験から、本当に大切なお薬との付き合い方を、様々な視点からお伝えしていき、安心・安全に服薬できるような情報を提供していくブログです。

インフルエンザのお薬

お薬とお付き合いのある皆さん、こんにちは!

 

今回は、インフルエンザのお薬について見て行きたいと思います!

まず始めに、インフルエンザ治療薬の概要です。

 

現在、世の中に存在しているインフルエンザ治療薬は、

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タミフル

リレンザ

・イナビル

ラピアクタ

シンメトレル

・アビガン

 

以上がインフルエンザ治療薬の一覧です。

この中で、下の二つ(シンメトレル・アビガン)については、あまり処方はないのでサラッと。

まず「シンメトレル」ですが、これはインフルエンザの治療薬というよりも、パーキンソンや脳梗塞後後遺症に伴う意欲・自発性低下の改善で使用される方が多いですね。

むしろインフルエンザで使用されることはほとんどないんじゃないかな?と思います。今までに、インフルエンザで処方された例は一度も体験していないですね~

一応、A型インフルエンザウイルス感染症に適応があります!

 

次に「アビガン」ですが、最新の抗インフルエンザ薬で、2014年に製造販売が認可されました。

このお薬の特徴は、簡単に言うと「今までのインフルエンザ薬が効かないインフルエンザが発生した際、国から使用の許可が出るまで製造販売することができない薬」なのです。

そのため、基本的には流通していません。ですが、存在しているお薬です。もちろん、私も一度も見たことはないですね~

今までのインフルエンザウイルスに対する有効性は高いのですが、これまでと作用自体が異なり、動物実験では、重篤な副作用も見られるため、使用に際し、慎重に使用されるべき薬でもあるのです。

このお薬の注意点としては、

既存の抗インフルエンザ薬が効かないインフルエンザが発生した時に、厚生労働大臣(国)から要請を受けて、初めて製造・供給となる薬です。

対象とするウイルスは、「鳥インフルエンザウイルスA(H5N1)・A(H7N9)」等を想定しています。

鳥インフルエンザ

聞いたことありますよね!?

 

残念なことに、このお薬「妊婦さん」には使用できないんです、、、。これは、先述したように、動物実験で、催奇形性が確認されています。そのため、妊娠の可能性がある女性には、投与前に妊娠検査による「陰性」の確認が必要となります。

 

それでは、一番メジャーな3種類(タミフルリレンザ・イナビル)についてです。

 

タミフルリレンザ・イナビルに共通する3つの特徴をお伝えします

 

1、インフルエンザA型、B型の両方に効果がある

2、発症後(症状が現れてから)48時間以内に服用しないと、効果がない

3、インフルエンザ感染者の同居家族・共同生活者には、予防目的で処方される

 

1、インフルエンザA型とB型の両方に効果がある

タミフルリレンザ・イナビルは「ノイラミニダーゼ阻害薬」と呼ばれ、インフルエンザA型とB型のどちらにも効果があります。

「ノイラミニダーゼ阻害薬」の働きとは、ウイルスの増殖を抑えることです。インフルエンザウイルスは、急激な増殖が特徴ですので、なるべく早い服用が重要になります。インフルエンザウイルスを殺すわけではないので、増殖してからだとなかなか本来の力が発揮しずらいですね、、、。

2、抗インフルエンザ薬は、発症後48時間以内の服用が必要

厚生労働省によると、「インフルエンザの治療薬は、発症後48時間以内に服用しないと、効果がない」とされています。

この「48時間以内の服用」には、理由があります。
前述した通り、タミフルリレンザ・イナビルといった抗インフルエンザ薬は、インフルエンザウイルスにある「ノイラミニダーゼ」が細胞から放出されることを抑えます。

そのため、ウイルスが増殖し終わる(=細胞からノイラミニダーゼが放出される)前のだいたい48時間以内に、抗インフルエンザ薬を服用しておかないと、あまり効果がなくなってしまうのです。
※48時間を過ぎたからといって、全く効果がなくなるわけではありません。

3、インフルエンザ感染者と同居家族・共同生活者には、予防投与されることも。

一緒に暮らす家族や入院中・高齢者施設で同じ部屋の人がインフルエンザに感染してしまい、インフルエンザに感染する可能性が高い場合には、感染予防を目的として、抗インフルエンザ薬(タミフルリレンザ・イナビル)が処方されることがあります。

予防投与が認められているのは、インフルエンザを発症している患者の同居家族・共同生活者のうち、原則的に重症化の恐れがある以下の条件にあてはまる方です。(2017年現在)

  • 高齢者(65歳以上)
  • 慢性呼吸器疾患又は慢性心疾患患者
  • 代謝性疾患患者
  • 腎機能障害患者

ただし、この条件に当てはまらない場合でも、医師の診断により予防投与が可能なケースがあります。そのため、家族がインフルエンザに感染した妊婦さんや受験生など、できるだけインフルエンザの感染を予防したい方は、一度医療機関で確認してみてはいかがでしょうか!

ちなみに、1日の救急当番の時には、大学受験生のお姉ちゃんがインフルエンザになったため、受験生に予防投与でイナビルが処方されました!


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