薬剤師が伝える!『薬との上手な付き合い方』

薬局で働く薬剤師が、地域住民に対して「お薬との上手な付き合い方」という講演会を実施していく中で、お薬を飲まれる方々が『本当に知りたい事』を講演会での質疑を通して知ることができました。その経験から、本当に大切なお薬との付き合い方を、様々な視点からお伝えしていき、安心・安全に服薬できるような情報を提供していくブログです。

インフルエンザ脳症を防ぐためには

 

 お薬とお付き合いのある皆さん、こんにちは!

 

前回に引き続き「インフルエンザ脳症」についてですが、今回は、インフルエンザ脳症を予防するためのポイントをお伝えしたいなと思います。

 

<今回の内容>

・インフルエンザワクチンの有効性

・解熱鎮痛剤に注意

 

インフルエンザワクチンの有効性

インフルエンザで最も重い合併症がインフルエンザ脳症です。

インフルエンザ脳症になった場合、死亡率は約30%で、後遺症も約25%の子どもに見られる重篤な合併症です。

発症を予防するにはインフルエンザワクチンの接種が有効です。

ワクチンにはインフルエンザによる重篤な合併症や死亡を予防することが期待されています。

65歳以上の健常な高齢者については、約45%の発病を阻止し、約80%の死亡を阻止する効果があったという報告があります。

小児については、1歳~6歳未満の幼児では発病を阻止する効果は約20~30%と言われています。

1歳未満の乳児では対象症例数が少なく効果は明らかでなかったという報告がありますが、インフルエンザワクチンは罹患した場合の重症化防止には有効と報告されていますので可能な限り接種をお勧めします。

 

解熱鎮痛剤に注意

 

f:id:ryouhei200611111:20180112082305j:plainf:id:ryouhei200611111:20180112082319j:plainf:id:ryouhei200611111:20180112082351j:plain

解熱剤使用と脳症との関連も明らかになっています。

インフルエンザになれば、40度近くの高熱が出ることはしばしばあります。特にお子さんの場合は、その傾向が結構あります。

親としては、40度近くの高熱になれば心配になりますし、しんどそうな姿を見たらすぐにでも楽にして挙げたいと思っちゃいますよね!

でも、むやみに熱さましを使うことは非常に危険です。

発熱はインフルエンザの主な症状のひとつで、ウイルスに対する免疫反応の一部であり、必ずしも解熱させなければならないものではありません。

39度以上の発熱があって、元気がなく、ぐったりしているようであれば解熱剤を使用してもよいでしょう。

そこで注意しないといけない解熱剤の使用ですが、

アスピリン(商品名:バファリンなど)

バファリンA、バファリン顆粒、バファリンプラスSは使用できません。

これらの製品にはアスピリン(アセチルサリチル酸という成分が含まれています。)

メフェナム酸(ポンタールなど)

ジクロフェナクナトリウム(ボルタレンなど)

これらのお薬は使用しないでください。

結論から言うと、2001年、厚生労働省からインフルエンザ脳症脳炎の重症化にこれらの薬が関与しているおそれがあると発表しました。

インフルエンザに使用できる解熱剤はアセトアミノフェン(アンヒバ坐剤、カロナールなど)が主体です。

 

「子供が風邪ひいたときに熱さましの座薬をもらったけど、余ったから冷蔵庫で保管しておいて、また熱が出たときにとりあえず使って様子みよう!」なんて方も結構いらっしゃるんじゃないでしょうか?

でも、それってすごく危険なことなんですね!

その座薬がアセトアミノフェンなら心配ないのですが、、、

これ以外にも、「余ったお薬を置いておき、のちに使用する」という事はリスクが高いです。

・子供は年齢だけでなく、体重によっても薬の量を調節する必要があるため

・必ずしも前回と同じ病気とは限らないため

・むやみに熱を下げることが正しい治療とは限らないため

 

お薬をもらって仮に余った場合、もったいないですが破棄することが望ましいと思います。


健康と医療ランキング にほんブログ村 病気ブログ 薬疹・薬の副作用へ
にほんブログ村 にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ
にほんブログ村