薬剤師が伝える!『薬との上手な付き合い方』

薬局で働く薬剤師が、地域住民に対して「お薬との上手な付き合い方」という講演会を実施していく中で、お薬を飲まれる方々が『本当に知りたい事』を講演会での質疑を通して知ることができました。その経験から、本当に大切なお薬との付き合い方を、様々な視点からお伝えしていき、安心・安全に服薬できるような情報を提供していくブログです。

腎機能の血液検査を見てみよう

お薬とお付き合いのある皆さん、こんにちは!

 

今回は、腎機能を診るための血液検査結果を深堀していきましょう!

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<今回の内容>

・クレアチニン(Cr)

・eGFR(推算糸球体ろ過量)

・BUN(尿素窒素)

 

 

クレアチニン(Cr)

基準範囲

(男性)基準範囲:1.00以下 要注意:1.01-1.29 異常:1.30以上

(女性)基準範囲:0.70以下 要注意:0.71-0.99 異常:1.00以上

 

クレアチンリン酸が代謝されたあとにできる老廃物がクレアチニンです。

クレアチニンは腎臓でろ過されて尿として排出されるため、血中のクレアチニンの濃度が上昇していることは腎臓の機能が低下しているという事が言えます。

 

クレアチニンが高値を示す場合、腎臓に何らかの異常が起きていることが考えられます。

急性腎臓病・慢性腎臓病(CKD)・心不全などが疑われます。(心不全が起きると、腎臓に血液が流れにくくなって、老廃物が排泄できなくなってしまいます)

 

特に慢性腎臓病(CKD)は近年増加している病気で、とても注目されています。いわゆる、CKDが進行すると最終的には「人工透析」が必要になってしまうからです。

人工透析は、その方の人生において大きな負担になりますし、それだけでなく、医療費が膨大にかかるという点も大きな問題点となっています。

 

日本においては1,330万人もの患者が存在するとされています。

腎臓の機能不全が慢性的に続く病気で、夜間頻尿・けん怠感・むくみ・息切れなどの症状が現れますが、自覚症状が出た際にはすでに病はかなり進行しているといえます。予防するためには、定期的な健康診断が欠かせません。

 

 

eGFR(推算糸球体ろ過量)

<正常値>

eGFR>90

 

クレアチニンの検査は腎臓の機能を調べる上でポピュラーな検査ですが、数値は筋肉の量に左右されるため男女差が大きいです。

そのため、激しい運動などをしている方などは、クレアチニンが高く出ることがあります。

また腎臓の機能が半分程度まで低下しないと高い値を示さないという欠点があります。

そのため、近年ではより精度の高い検査であるeGFRの検査を追加して行うことが多くなってきました。

これは、

eGFR(ml/分/1.73m2)=194×Cr-1.094×年齢(歳)-0.287

(女性は×0.739)

 

このように計算されます、、、。クレアチニンしか検査結果がない場合は、インターネットで「eGFR」で検索すると、「年齢」「クレアチニン」を入力するだけでeGFRが分かるサイトが色々と出てくるため、そちらで計算してみてください!

 

90>eGFR≧60の場合

正常または軽度低下

腎臓機能は正常または軽度に低下していると推定されます。

尿蛋白などがない場合は心配ありませんが、生活習慣病などあれば注意です。

蛋白尿などの尿検査以上が続いている場合は、慢性腎不全が疑われますので、受診したほうがいいかもしれません。

 

60>eGFR≧45の場合

腎機能は軽度~中等度に低下していると推定されます

慢性腎不全が疑われますので、医療機関を受診しましょう。

 

45>eGFR≧30の場合

 腎機能は中等度~高度に低下していると推定されます。

慢性腎不全が強く疑われますから、速やかに医療機関を受診しましょう。

 

30>eGFR≧15の場合

 腎機能は高度に低下していると推定されます

 腎機能低下による様々な異常を発症している可能性が高い状態にありますので、受診している状態だと思います。

もし腎臓専門医に診察を受けていないようでしたら、かかりつけ医とご相談したほうがいいかもしれませんね。

 

15>eGFRの場合

末期腎不全と推定されます。

透析治療などを要する直前の状態と言われています。

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以上、CKD診療ガイドを参考に分類分けしていますが、上記は単純にeGFRでのみ分類していますので、参考程度に見ていただければと思います。

 

BUN(尿素窒素)

基準範囲

8.0~20.0mg/dl

 

体内のたんぱく質の老廃物が尿素窒素で、肝臓でアンモニア二酸化炭素をもとに作られ、尿として排出されます。

腎機能のはたらきが衰えると、ろ過しきれない分が血液中に残り、尿素窒素の値が上昇します。

 

腎機能が低下しているときだけでなく、脱水やむくみ、尿路結石や尿路の腫瘍などの閉塞性尿路疾患があると、たまった尿中の尿素窒素が血液に逆流して高値になることもあります。

 

数値が21以上で高ければ腎臓を、7以下で低ければ肝臓をの病気を疑います。

腎臓の機能が低下していると、尿素窒素の排出量が減って体内に残り、血液中の濃度が上昇、つまり数値が高くなります。

逆に肝臓でつくられる尿素窒素量が減ると、濃度は低下、つまり数値が低くなります。


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