薬剤師が伝える!『薬との上手な付き合い方』

薬局で働く薬剤師が、地域住民に対して「お薬との上手な付き合い方」という講演会を実施していく中で、お薬を飲まれる方々が『本当に知りたい事』を講演会での質疑を通して知ることができました。その経験から、本当に大切なお薬との付き合い方を、様々な視点からお伝えしていき、安心・安全に服薬できるような情報を提供していくブログです。

ノロウイルスを拡大させないために

お薬とお付き合いのある皆さん、こんにちは!

 

今回は、不幸にしてノロウイルスにかかってしまった場合、感染を拡大させないための方法をご紹介しようと思います。

 

<今回の内容>

ノロウイルスの感染力

・汚物の処理方法

 

 

ノロウイルスの感染力

感染者の嘔吐物や便の処理は、ノロウイルスによる食中毒や集団感染を防ぐためにはとても重要です。

ノロウイルスは生命力?が強くなかなか死なないんですね、、、

また、感染力が非常に強く、少量のウイルス(10〜100個)でも感染・発症するという厄介なヤツなんです。

 

<1gあたりに含まれる、ウイルスの数>

便には、

約1億個/g (特に乳幼児では100億個以上)
症状がない不顕性感染者でも、10〜100万個/g以上排出されている場合があります。

 

嘔吐物には、

約100万個/g

 

赤ちゃんの便1gで1~10億人に感染させられる!?っていう事なんですかね??

恐ろしい、、、

 

以上からもわかるように、汚物処理は非常に重要になるんですね!

家族の一人が感染してしまえば、家族全滅なんてことも・・・よくありますね

 

 

汚物の処理方法

汚物(嘔吐物や排泄物)には、ノロウイルスが大量に含まれている可能性があります。
感染の拡大を防ぐために以下のポイントを守って、「すばやく」「適切に」処理してください。

  1. 使い捨ての手袋、エプロン、マスク、くつカバーなどの個人防護具を着用
  2. 処理をする人以外は、汚物に近づかないこと。
  3. 効果的な殺菌剤を使うこと。
  4. 十分に換気をすること。
  5. ウイルスは広く飛散し、高く舞い上がるため、広範囲の壁や床を洗浄すること。
  6. 処理後には手洗いを2度行い、うがいをすること。

 

以上がポイントです。

それぞれ少し詳しく見ていきましょう!

 

1、使い捨ての手袋、エプロン、マスク、くつカバーなどの個人防護具を着用

手袋は2枚重ねでの着用がポイントです!

基本的には、処理が終わったら、袋に入れて廃棄してください。エプロンも基本的には廃棄です。しかし、お気に入りだったら、、、

 

というこで、洗濯のポイントをお伝えします。

・下洗いをする

付着した汚物中のウイルスが飛び散らないように処理をした後、洗剤を入れた水の中で静かにもみ洗いします。その際には、しぶきを吸い込まないように注意して行いましょう。

・洗濯した場所の清浄化

下洗いを行なった場所も0.02%塩素系漂白剤調整液で消毒し、洗剤を使用して清掃を行ないましょう。

 

3、効果的な殺菌剤を使うこと

ノロウイルスはアルコールは効きません。また、熱にも比較的強いんですね。そして乾燥にも強いという何ともふてぶてしいやつです。

このノロウイルスを殺菌するためには1000ppm以上に調製した次亜塩素酸ナトリウムが有効になります。

そうはいっても、1000ppm以上に希釈した次亜塩素酸ナトリウムなんて普段から常備していないですよね、、、

急にノロウイルスに感染してしまった場合、どうしたらいいのでしょうか?

 

実は、キッチンハイターって次亜塩素酸ナトリウムなんですよね!

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キッチンハイターって結構、どの家庭にもあったりしますよね!

でも、キッチンハイターをそのまま使うには濃度が濃すぎます。

では、キッチンハイターの塩素濃度を0.1%(1000ppm)にする時の希釈方法または目安はどうしたらよいでしょうか?

 

実はすごく簡単で、

水1Lに対してキャップ1杯(20mL)に薄めることで1000ppmの次亜塩素酸ナトリウムの出来上がりです!

 

5、ウイルスは広く飛散し、高く舞い上がるため、広範囲の壁や床を洗浄すること。

先述した通り、ノロウイルスって乾燥にも強かったりするので、思っている以上に飛散するんですよね、、、。

「広範囲の壁や床」ってどのくらいの範囲なんでしょうか?

 

推奨されるのは、

・床は吐いたものの周囲、半径2mくらい

・壁は高さ1,6mくらい

と言われています。

 

思った以上に広範囲に飛散するので要注意です


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ノロウイルスの発症・症状・対処法

 お薬とお付き合いのある皆さん、こんにちは!

 

前回は、ノロウイルスとは?という事で、どうしたら感染してしまうのか?というところを中心にお伝えしました。

 

今回は、ノロウイルスに感染してしまった場合の発症から症状までを見て行こうと思います。(かからないに越したことはないんですが、、、)

 

<今回の内容>

ノロウイルス感染から発症まで

ノロウイルスの症状

・対処法

 

ノロウイルス感染から発症まで

ノロウイルスは体内に入った後、小腸の上皮細胞で増殖し、胃の運動神経の低下・麻痺が伴うために主に「腹痛・下痢・吐き気・嘔吐」の症状を引き起こします。

 

潜伏期間は一般的に12〜48時間と言われています。

 

私の感想としましては、もっと早く発症するような気がします。

義母がノロウイルスに感染したことがあるのですが、みんなで晩ご飯(19時頃)に牡蠣鍋を食べたのですが、明け方(4時頃)になりひどい腹痛と嘔吐・下痢で救急にかかったことがあります。

 

9時間で症状MAXでしたね、、、(TT)

 

余談ですが、それから義母は、怖くて牡蠣は食べれなくなっちゃいましたね(^^;)

 

前回お伝えしたように、食事からの感染は、「二枚貝」が比較的多いのですが、そのようなものを「生」もしくは「十分に加熱していない状況」で食し、その後数時間して激しい嘔吐下痢が現れたなら、「ノロウイルス」を疑ったほうがいいかもしれませんね!

 

ノロウイルスの症状

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症状としては、割と分かりやすいかもしれません。胃をひっくり返すような嘔吐もしくは吐き気が突然、強烈に起きるのが特徴です。発熱は約37〜38℃の軽度で、大人では吐き気や腹部膨満感といった症状が強いようです。 

発症後、通常であれば1〜2日程度で症状は治まります
 
下痢は水のような状態で、重症例では1日に十数回も見られますが、通常は2〜3回で治まります。その他の症状としては、発熱のほか、筋肉痛、頭痛などが見られますが、後遺症が残ることもなく、いずれも軽症です。 
 
しかし、嘔吐による窒息や誤飲性肺炎によって乳幼児や高齢者が亡くなるケースがまれにあるため、注意が必要です。

義母は恐らく重症例だったかもしれませんね、、、。上からも下からも十数回でした、、、。便器に座りながら吐いてしまうとう状況でしたねよく、周りの人(私を含め)ノロウイルスに感染しなかったな、と思います!

 

もしかしたら、症状のない「不顕性感染」だったかも?と今更ながら思っちゃいました。もう遅いですが、、、

不顕性感染とは、ノロウイルスに感染したにもかかわらず、嘔吐などの特別な症状が出ないまま便中にウイルスを排出することがあります。これを、「不顕性感染」と言います。
無症状であっても、身近な人に症状がある場合は自身も感染している可能性があるため、無自覚のまま感染源となる場合があります。
 
自分が感染源とならないよう、注意しないといけませんね!
 
特に、飲食業界で働く方等は、特に注意が必要です!
 


対処法 

ノロウイルスには有効な抗ウイルス剤がなく、対症療法が行われます。

特に抵抗力の弱い乳幼児や高齢者が感染すると、「脱水症状」になりやすいので、症状が少し落ち着いた時に、少しずつ水分補給を行ってください。

症状がひどい場合だと、水分を取っただけで「気持ち悪くて吐いちゃう」という方もいらっしゃいますので、少しずつで様子見ましょう!

 

できれば、水分をとるときには経口補水液OS-1等)が吸収もよく、電解質もしっかりとれるのでお勧めです!

 

特に乳幼児の場合、ジュースや牛乳などの濃い飲みものを与えたり、一気に飲ませると吐き戻してしまうことがありますので注意してください。

 

吐き気がひどく、水分を受け付けない場合は、受診して点滴を受ける方がいいかもしれませんね!

点滴をするだけでだいぶ体調が改善するようです!

 

 

 

 


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ノロウイルス感染症とは?

お薬とお付き合いのある皆さん、こんにちは!

 

季節柄(といっても少し遅いのですが)、インフルエンザについて色々とお伝えしました。

同じ感染症ということで、ノロウイルスも冬場に多いため、どういった感染症なのか?という事もお伝えしようと思います。

 

<今回の内容>

ノロウイルス感染症とは?

ノロウイルスの特徴

 

ノロウイルス感染症とは?

ノロウイルスは、2002年の夏、国際ウイルス命名委員会によってノロウイルスという正式名称が決定され、世界で統一されて用いられるようになったんです!

乳幼児から高齢者までの幅広い年齢層に急性胃腸炎を引き起こす、ウイルス性の感染症で、長期免疫が成立しないため何度もかかります、、、。

おたふくや水ぼうそうとは違い、インフルエンザのように、毎年感染してしまう恐れもあるという事です。

 

ノロウイルスはヒトに対して嘔吐、下痢などの急性胃腸炎症状を起こしますが、その多くは数日の経過で自然に回復します。

 

季節的には主に冬場に多発し、11月頃から流行がはじまり12〜2月にピークを迎えますが、年間を通して発生します。

 

ヒトへの感染経路は、主に経口感染です。

感染した人は、上記のように嘔吐・下痢を起こしますので、それらの処理が不十分ですと、糞便・嘔吐物およびこれらに 直接または間接的に汚染された便器や食器類から感染してしまうこともあります。

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牡蠣、美味しいですよね~

私は、牡蠣大好きなんです!

しかし、『「カキ」で当たった』とい方がいらっしゃいますが、汚染された食品を食べることによって感染する場合もあります。

「カキ」やその他の二枚貝類の生、あるいは加熱不十分な調理で感染してしまうんです。

以上が、感染源の代表的なものとしてあげられます。

 

ヒトからヒトへの感染として、ノロウイルス飛沫感染、あるいは比較的狭い空間などでの空気感染によって感染拡大します。

 ノロウイルスの増殖は人の腸管内のみですが、乾燥や熱にも強いうえに自然環境下でも長期間生存が可能なんです。すごく生命力?が強いんですよね、、、。

 

厄介な奴です

 

そして感染力が非常に強く、少量のウイルス(10〜100個)でも感染・発症します。

 

ノロウイルスの特徴

上記にも記載してありますが、ノロウイルスの特徴をまとめますと、

  • 人の腸管のみで増殖する。
  • 感染力が強く、少量(10~100個)でも発症する。
  • 経口感染、接触感染、飛沫感染など感染ルートが複数ある。
  • ノロウイルスに一度感染した患者でも繰り返し感染・発症する。

という事になります。

ノロウイルスは、ヒト→ヒト感染が一番多いです。

ノロウイルス感染者の感染原因を調べたところ、

感染原因が不明・・・23%

食品が原因・・・・・28%

ヒト→ヒト感染・・・49%

となっているようです。

まずは、感染ルートのシャットアウトを徹底していく必要がありますね!

その辺り、またお伝えしたいと思います!


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インフルエンザ脳症を防ぐためには

 

 お薬とお付き合いのある皆さん、こんにちは!

 

前回に引き続き「インフルエンザ脳症」についてですが、今回は、インフルエンザ脳症を予防するためのポイントをお伝えしたいなと思います。

 

<今回の内容>

・インフルエンザワクチンの有効性

・解熱鎮痛剤に注意

 

インフルエンザワクチンの有効性

インフルエンザで最も重い合併症がインフルエンザ脳症です。

インフルエンザ脳症になった場合、死亡率は約30%で、後遺症も約25%の子どもに見られる重篤な合併症です。

発症を予防するにはインフルエンザワクチンの接種が有効です。

ワクチンにはインフルエンザによる重篤な合併症や死亡を予防することが期待されています。

65歳以上の健常な高齢者については、約45%の発病を阻止し、約80%の死亡を阻止する効果があったという報告があります。

小児については、1歳~6歳未満の幼児では発病を阻止する効果は約20~30%と言われています。

1歳未満の乳児では対象症例数が少なく効果は明らかでなかったという報告がありますが、インフルエンザワクチンは罹患した場合の重症化防止には有効と報告されていますので可能な限り接種をお勧めします。

 

解熱鎮痛剤に注意

 

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解熱剤使用と脳症との関連も明らかになっています。

インフルエンザになれば、40度近くの高熱が出ることはしばしばあります。特にお子さんの場合は、その傾向が結構あります。

親としては、40度近くの高熱になれば心配になりますし、しんどそうな姿を見たらすぐにでも楽にして挙げたいと思っちゃいますよね!

でも、むやみに熱さましを使うことは非常に危険です。

発熱はインフルエンザの主な症状のひとつで、ウイルスに対する免疫反応の一部であり、必ずしも解熱させなければならないものではありません。

39度以上の発熱があって、元気がなく、ぐったりしているようであれば解熱剤を使用してもよいでしょう。

そこで注意しないといけない解熱剤の使用ですが、

アスピリン(商品名:バファリンなど)

バファリンA、バファリン顆粒、バファリンプラスSは使用できません。

これらの製品にはアスピリン(アセチルサリチル酸という成分が含まれています。)

メフェナム酸(ポンタールなど)

ジクロフェナクナトリウム(ボルタレンなど)

これらのお薬は使用しないでください。

結論から言うと、2001年、厚生労働省からインフルエンザ脳症脳炎の重症化にこれらの薬が関与しているおそれがあると発表しました。

インフルエンザに使用できる解熱剤はアセトアミノフェン(アンヒバ坐剤、カロナールなど)が主体です。

 

「子供が風邪ひいたときに熱さましの座薬をもらったけど、余ったから冷蔵庫で保管しておいて、また熱が出たときにとりあえず使って様子みよう!」なんて方も結構いらっしゃるんじゃないでしょうか?

でも、それってすごく危険なことなんですね!

その座薬がアセトアミノフェンなら心配ないのですが、、、

これ以外にも、「余ったお薬を置いておき、のちに使用する」という事はリスクが高いです。

・子供は年齢だけでなく、体重によっても薬の量を調節する必要があるため

・必ずしも前回と同じ病気とは限らないため

・むやみに熱を下げることが正しい治療とは限らないため

 

お薬をもらって仮に余った場合、もったいないですが破棄することが望ましいと思います。


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インフルエンザ脳症とは?

お薬とお付き合いのある皆さん、こんにちは!

 

今回はインフルエンザで一番怖い合併症「インフルエンザ脳症」についてお伝えしようと思います。

インフルエンザ脳症という言葉は聞いたことがある方は多いと思います。

しかし、対応の仕方だったり、注意点だったりはあまり知られていないのではないでしょうか?

特に、小さなお子さんをお持ちの方でしたら、特に不安は大きいんじゃないかと思います。

 

今回は、その辺りについてご紹介していきたいと思います!

 

<今回の内容>

・初期対応について

神経症状について

 

初期対応について

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† 単純型とは

①持続時間が 15 分以内

②繰り返しのないもの

③左右対称のけいれん ただし、けいれんに異常言動・行動が合併する場合には単純型でもすぐに受診が必要。

‡ 複雑型とは

単純型以外のもの インフルエンザに伴う複雑型熱性けいれんについては、脳症との鑑別はしばしば困難なことがある。  

経過観察

ここでいう経過観察とは、その時点では脳症のリスクが低いと思われる場合です。 帰宅後に神経症状の再燃あるいは新しい症状が出現した場合は、必ず再診するようにしてください。  3~5 日後にけいれんや意識障害が出現することもあります。  

 

以上は、「インフルエンザ脳症ガイドライン」に記載されている内容です。

インフルエンザと診断されて、「けいれん」「意識障害」「異常行動」のいずれかが発現した場合は、要注意という事です!

 

神経症

インフルエンザ関連脳症の主な神経症状としては、意識障害、けいれん、異常言動・行動があげられます。

意識障害

意識障害」はインフルエンザ脳症神経症状の中で最も重要です。インフルエンザになった時に、明らかな意識障害が見られる場合は、速やかに病院へ受診しましょう。

では、「意識障害」をどのように判断すればいいのでしょうか?

一番有名な指標としては、「Japan Coma Scale」というのがあります。

 

Ⅲ 刺激をしても覚醒しない状態

300 痛い刺激にまったく反応しない

200 痛い激で少し手足を動かしたり、顔をしかめる

100 痛い刺激に対し、払いのけるような動作をする

Ⅱ 刺激すると覚醒する状態

30 痛い刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すと、辛うじて開眼する

20 大きな声または体をゆさぶることにより開眼する

10 普通の呼びかけで容易に開眼する

Ⅰ 刺激しないでも覚醒している状態

3 自分の名前、生年月日がいえない

2 見当識障害がある

1 意識清明とはいえない  

 

乳幼児の場合は、以上の指標と同じなのですが、

Ⅲ 刺激をしても覚醒しない状態

300 痛み刺激にまったく反応しない

200 痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめる

100 痛み刺激に対し、払いのけるような動作をする

Ⅱ 刺激すると覚醒する状態(刺激をやめると眠り込む)

30 呼びかけを繰り返すと、辛うじて開眼する

20 呼びかけると開眼して目を向ける

10 飲み物を見せると飲もうとする。あるいは乳首を見せれば欲しがって吸う

Ⅰ 刺激しないでも覚醒している状態

3 母親と視線が合わない

2 あやしても笑わないが、視線は合う

1 あやすと笑う。ただし不十分で、声を出して笑わない

 

以上のように、医療機関では判断するようです。

私は薬剤師ですので、診断はできませんが、不安な場合は以上の判断基準に当てはまるような事があれば、診察をしたほうが良いのかなと思っています。

 

けいれん

インフルエンザになっている時にけいれんを認めた場合、それは、本質的には熱性けいれんとは異なり、最も注意すべきはけいれん後の意識障害です。意識障害については前項を参照していただければと思います。

単純型

①持続時間が 15分以内

②繰り返しのないもの

③左右対称のけいれん

以上を指します。

複雑型

単純型以外のけいれん(持続時間の長いけいれん、繰り返すけいれん、左右非対称のけいれんなど) を指します。

 

以上、けいれんが起こった場合は、速やかに受診したほうが安心でしょう!

 

異常言動・行動

インフルエンザ脳症の初期には異常言動・行動がしばしば認められます。

しかし異常行動・言動が必ずしも「インフルエンザ脳症」と言うわけではなく、熱せん妄、脳症へ進展しない異常言動・行動もあります。

インフルエンザに伴い異常言動・行動が認められた場合

①連続ないし断続的に概ね1時間以上続くもの

② 意識状態が明らかに悪いか悪化するもの

こういった場合には特に注意が必要です。

 

では、実際に異常言動・行動とはどういったものなのでしょうか?

 

① 両親がわからない、いない人がいると言う(人を正しく認識できない)

② 自分の手を噛むなど、食べ物と食べ物でないものとを区別できない

③ アニメのキャラクター・象・ライオンなどが見える、など幻視・幻覚的訴えをする

④ 意味不明な言葉を発する、ろれつがまわらない。

⑤ おびえ、恐怖、恐怖感の訴え・表情 ⑥ 急に怒りだす、泣き出す、大声で歌いだす

 

このような症状が確認されています。

他にも、厚生労働省からは、以下のような症状が出ています。

 

A.事故につながったり、他人に危害を与えたりする可能性がある異常な行動
A1 事故につながる可能性がある異常な行動
例:自分が知らないうちに、靴をはいて外にでていた。外に飛び出し、小川に飛び込もうと した。高いところから、飛び降りようとした。
A2 他人に危害を与える可能性がある異常な行動
例:夜間に母親を包丁をもって襲おうとした。
A3 上記以外で事故につながったり、他人に危害を与えたりする可能性がある異常行動


B.幻視・幻覚・感覚の混乱
B1 存在しないものが見えている様子
例:ついていないテレビを見て「猫が来る」,「お花畑がみえる」。
B2 居るはずがない家族や親戚、友人、知人などがいると言う。
B3 目の前にあるものが見えない様子
例:そばにいるのに「ママ近くに来て。」と話す。
B4 よく知っている人を間違える。
例:父親を「お姉ちゃん」という。
B5 身体の感覚が正しく認識できない。
例:突然「回る回るよ」と叫ぶ。
B6 自分のいる状況が把握できない。
例:病院に行く準備をしているときに公園に行くと言う。
B7 上記以外で幻視・幻覚・感覚の混乱と思われるもの


C.うわごと・歌を唄う・無意味な動き
C1 状況に全くそぐわない言葉を言う。
例:知っている単語を意味なく繰り返す。
C2 普段と違う不自然な話し方をする。
例:大人の敬語を使い「~でございます」という。
C3 話す内容がばらばらで、筋道が通った話や会話ができない。
C4 話そうとするが言葉が出ない。
例:お母さんと言えず「あーうー」と奇声を上げる。
C5 大声で叫ぶ、奇声をあげる。
C6 突然歌を唄う。おかしな歌の唄い方をする。
C7 無意味な動きをする。
例:舌を何度も出す、おかしなしぐさを繰りかえす。
C8 上記以外でうわごと・歌を唄う・無意味な動きと思われるもの


D.おびえ・恐怖・怒る・泣き出す・笑う・無表情・無反応
D1 理由も無くおびえる。
例:「こわい」と叫ぶ。
D2 何でもないものにおびえる。
例:窓ガラスに映るものやささいなものに怯える。
D3 異常に怖がる。

例:医師や看護師、知らない人をこわがる。ひきこもり、怖そうにがたがた震える。
D4 理由もなく泣く、泣き叫ぶ、泣きわめく。
D5 理由もなく怒る、暴れる。
例:押さえ切れないほどの力で暴れる。
D6 理由もなく笑う、ニヤリと笑う、高笑い。
例:甲高い声でわめきだす。
D7 無表情、無反応。
例:喜怒哀楽の表情がない。反応が鈍い。視点が定まらない。
D8 上記以外でおびえ、怒る、無表情などと思われるもの


E.何でも口に入れてしまう。
E1 何でも口にいれてしまう。
例:自分の指を、「ハムだ」と言いかじる。点滴の添え木をしゃぶる。
E2 上記以外で何でも口に入れてしまうような異常行動

 

 

 


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インフルエンザに感染しないために!

お薬とお付き合いのある皆さん、こんにちは!

 

今回は、インフルエンザに感染しないためのポイントをお伝えしたいと思います!

 

<今回の内容>

・ワクチン接種について

・咳エチケット

・手洗い

・湿度の保持

・栄養摂取

・外出を控える

 

流行前のワクチン接種

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残念ながら、インフルエンザワクチンを接種したからと言って、「インフルエンザにならない」という事はありません。

しかしインフルエンザワクチンは、感染後に発症する可能性を低減させる効果と、発症した場合の重症化防止に有効と報告されています!

特に

高齢者(65歳以上)

・心臓に病気がある方

・糖尿病の方

・腎臓が悪い方

気管支喘息などの呼吸器の病気がある方

このような方は、インフルエンザによりインフルエンザ自身、若しくは元々の持病がひどくなる場合がありますので、予防接種をしておいたほうが良いでしょう!! 

インフルエンザワクチンはの効果発現・持続時間については個人差がありますが、一般にはインフルエンザワクチン接種後2週間目頃から5カ月間程度効果が持続するとされています。

そのため、11月後半から12月上旬にはワクチン接種を済ませておくほうが良いでしょうね!!

飛沫感染対策としての咳エチケット

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インフルエンザの主な感染経路は咳やくしゃみによる飛沫感染です。
したがって、飛沫(くしゃみや咳をした時の唾液)を浴びないようにすればインフルエンザに感染する機会は大きく減少します。

・ 咳やくしゃみを他の人に向けて発しないこと
・ 咳やくしゃみが出るときはできるだけマスクをすること

・とっさの咳やくしゃみの際にマスクがない場合は、ティッシュや腕の内側などで口と鼻を覆い、顔を他の人に向けないこと
・鼻汁・痰などを含んだティッシュはすぐにゴミ箱に捨て、手のひらで咳やくしゃみを受け止めた時はすぐに手を洗うこと

などを守ることを心がけてください。
もちろん、自分がインフルエンザになっている場合は、必ずマスクをして、他の方に感染しないように対策をすることは最低限のマナーです!!

 外出後の手洗い等

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流水・石鹸による手洗いは手指など体についたインフルエンザウイルスを物理的に除去するために有効な方法であり、インフルエンザに限らず接触や飛沫感染などを感染経路とする感染症の対策の基本です。

十分な流水で手を洗うように心掛けましょう!

ちなみに、うがいもとても重要ですが、うがいは必ず手を洗ってからしましょうね

インフルエンザウイルスにはアルコールも効果があります。スーパーなどの店内入り口に、アルコールスプレーが置いてありますよね!?多くの不特定多数の方がいらっしゃる場所では、こまめにアルコール消毒をするといいと思います!

適度な湿度の保持

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空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です。

それ以外にも、インフルエンザウイルスは湿度に弱いという事も分かっています。

「温度20度以上、湿度50~60%で空気中での感染力が下がる」

なかなか、冬場は乾燥しやすく湿度を保つ事が難しいのですが、上記の状態を保つことは、かなり有効です。

妊婦さんや受験生、高齢者のいる家庭などでは、このような環境を意識していただくといいんじゃないでしょうか!!

十分な休養とバランスのとれた栄養摂取 

当たり前のことですが、体の抵抗力を高めるために、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取を日ごろから心がけましょう。

やはり重要なのは緑黄色野菜だと思います!

お鍋などすると効率よく野菜が取れていいですよね!

 

人混みや繁華街などへの外出を控える

インフルエンザが流行してきたら、特に御高齢の方や基礎疾患のある方、妊婦、体調の悪い方、睡眠不足の方は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。

やむを得ず外出して人混みに入る可能性がある場合には、ある程度、飛沫感染等を防ぐことができる不織布(ふしょくふ)製マスクを着用することは一つの防御策と考えられます。

不織布製マスクとは不織布とは「織っていない布」という意味です。繊維あるいは糸等を織ったりせず、熱や化学的な作用によって接着させて布にしたもので、これを用いたマスク!を不織布製マスクと言います。

先述した通り、インフルエンザは飛沫感染が感染経路となるため、マスクは簡単にできる予防方法としていいと思います!

 

 

 


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インフルエンザってどういう病気?

 

お薬とお付き合いのある皆さん、こんにちは!

 

今までインフルエンザ治療薬についてお伝えしてきましたが、そもそもインフルエンザってどんな病気なんでしょうか?

 

・すごい高熱が出る

・感染しやすい

インフルエンザ脳症

 

こんなところが思いつくんじゃないでしょうか?

 

では、それらを踏まえたうえでもう少し詳しく見ていきましょう!!

 

<今回の内容>

・インフルエンザって?

・インフルエンザウイルスの特徴

・インフルエンザの流行時期

・インフルエンザの感染経路

・インフルエンザの症状

 

インフルエンザって?

インフルエンザは、簡単に言うと、

「インフルエンザウイルスがのどや気管支、肺で感染・増殖することによって発症する病気」

です。

インフルエンザの発症者は0~9歳の小児が約半数を占めているいます。これは、単純に子供のほうが抵抗力が弱いなどで発症しやすいというところと、学校や保育園などの集団生活の中で広がることが主な原因だと思われます。

私の子供も小学生がいますが、冬場はマスクを着用し、うがい手洗いを徹底させてますね!今のところ幸いにしてインフルエンザに罹ったことはありません!!

反対に、インフルエンザによる死亡者は65歳以上の高齢者が大部分を占めているといわれています。

これは単純に、体力的な部分が大きいのではないでしょうか。高齢者は特に「インフルエンザにかからない」という対策が非常に重要なのだと思います。

 

 

インフルエンザウイルスの特徴

インフルエンザの原因となるインフルエンザウイルスは、大きく分けて、A型、B型、C型の3つに分類されます。

このうち、「季節性」のインフルエンザとしてヒトの間で毎年流行を繰り返しているのは、

A/H1N1型(ソ連型)

A/H3N2型(香港型)

B型

これらが、猛威を振るってるんですね。

2007/08シーズンから2008/09シーズンまではA/H1N1型(ソ連型)のウイルスが多くを占めていましたが、2009/10シーズンではパンデミック(世界的大流行)を引き起こした新型インフルエンザウイルスがほぼ100%を占めていたことが報告されています。

上記で、H1N1型とかH3N2型とか書いていますし、テレビでも「H?N?型のインフルエンザウイルスが流行」とか聞いたことがあると思います。

A型インフルエンザウイルスには、HAとNAの二種類のトゲトゲがあって、ウイルスが感染を起こすための大切な役割を果たしています。

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HAは感染しようとする細胞にくっついて、ウイルスを細胞の中に取り込む役割をします。

NAは、感染した細胞とHAの結合を切って、コピーされたウイルスを細胞から放出させる役割を持ちます。

A型インフルエンザウイルスのHAには16種類(H1~H16)、NAには9種類(N1~N9)あり、この組み合わせによりA型インフルエンザウイルスにはH1N1~H16N9の144種類が存在しているのです。

毎年流行するインフルエンザには、H1N1型(HAがH1、NAがN1)、H3N2型(HAがH3、NAがN2)などがあり、それぞれ「Aソ連型」や「A香港型」といわれています。そして、現在、人での感染が拡大している鳥インフルエンザH7N9型はHAがH7、NAがN9を持っています。

東南アジアをはじめ世界各国で発生している鳥インフルエンザH5N1型は、HAがH5、NAがN1を持つタイプです。

 

インフルエンザの流行時期

季節性のインフルエンザは、例年11~12月頃に流行が始まり、1~3月にピークを迎えます。

そのため、今の時期はまさにピークに突入している時期となります。

私は、1月1日に地域の救急当番で薬局をあけていたのですが、インフルエンザの患者さんは多かったですね~(T T)

ちなみに、2009年は新型インフルエンザウイルスの出現によって、5月から感染者が確認されはじめ、夏以降、感染者が爆発的に増加しました。

 

インフルエンザの感染経路

インフルエンザウイルスは、呼吸とともに体内に侵入し、のどや気管支、肺で急激に増殖していきます!

インフルエンザは主に、インフルエンザに感染した患者さんの咳(せき)やくしゃみなどのしぶきに含まれるインフルエンザウイルスを吸い込むことによって感染します。これを飛沫感染といいます。

インフルエンザウイルスは、呼吸とともに鼻やのどから体内に入り込み、気道の粘膜に吸着して細胞内に侵入します。感染したウイルスは、のどや気管支、さらには肺で急激に増殖していきます。感染2日後にはウイルスの増殖はピークに達し、その後減少します。

インフルエンザウイルスの急激な増殖が、他のウイルス感染症に比べて、速やかな発症につながっている要因と考えられています。そのため、インフルエンザ治療薬のところでも記載しましたが、お薬の服用はなるべく早くが鉄則です!

 

インフルエンザの症状

・A型インフルエンザ
A型インフルエンザウイルスは、他と比べ症状が激しい型です。
「インフルエンザ」と聞いて皆さんが想像するような、強烈な症状が出やすい型だと考えられています。

通常一度インフルエンザにかかると、回復の過程でそのウィルスに対する免疫が体内に作られますが、A型は先述したように144種類もあり、ウイルスの形をどんどん変えて進化し続けるため、今までに獲得した免疫が機能しにくくなるため、ワクチンを打っても「インフルエンザにならない」という事にはなりにくいんですね、、、。

それに、144種類もあるため、ワクチンの予測も立てにくいという特徴もあります。

・38℃を超える高熱
・肺炎を含む、深刻な呼吸器系の合併症
・ものを飲み込むのが困難なほどの、のどの痛み
・関節痛、筋肉痛
脳炎、脳症の合併症を引き起こすことがある


・B型インフルエンザ
B型インフルエンザウイルスは、以前は数年単位で定期的に流行しておりましたが、近年は毎年流行しています。A型インフルエンザのように、大きな流行を起こすことはあまりないと考えられています。

・お腹の風邪の症状に近く、下痢やお腹の痛みを訴える人が多い
・人と人の間でしか感染しない


・C型インフルエンザ

あまり聞きなれないですよね!
C型インフルエンザは、いったん免疫を獲得すると、終生その免疫が持続すると考えられています。再びかかったとしてもインフルエンザだとは気づかず、ふつうの風邪と思ってしまうかもしれません。

・ほとんどの大人が免疫を持っているため感染しにくい
・かかるのは4歳以下の幼児が多い
・感染してもインフルエンザとしてはかなり軽症で済むことが多い
・症状は鼻水くらい。ほかの症状はあらわれないことが多い

 

 


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