【各論】糖尿病薬:チアゾリジン薬
お薬とお付き合いのある皆さん、こんにちは!
まだまだ続く糖尿病薬の各論、今回は「チアゾリジン薬」についてです。
チアゾリジン薬の種類
- アクトス(ピオグリタゾン)
このお薬は、このアクトスしかないんですね!
ジェネリックは発売されています。
飲み方は、基本的に朝食前もしくは朝食後です。朝食時に飲み忘れた場合は昼食時に服用してください。それ以降の場合は基本的に服用しません。
作用について
このお薬は、インスリン抵抗性改善薬という分類です。インスリン受容体のインスリン結合部以降に作用してインスリン抵抗性を減らします。
また、肝臓で糖が作り出されるのを抑えたり、体の組織での糖の利用を高めて血糖を低下させる作用があったりします。
ただ単にインスリンの抵抗を改善するだけではないんですねぇ〜!
注意点
このお薬の特徴として、体の水分が溜まりやすくなる傾向があるので、、心不全・浮腫の出現に注意が必要です。
そのため、心不全の治療をされている方は、服用できません。また、むくみが出る方は塩分制限をしっかりすることと、利尿剤を服用したりします。
高齢者やむくみを起こしやすい女性の方はちょっと注意が必要ですね!
副作用
浮腫
特に女性で有意に高く見られる副作用です。
浮腫への対応は、利尿剤の追加や、減塩、このお薬の減量・中止などがあります。
体重増加
体重増加には浮腫と脂肪組織増加の二つの原因が考えられるのですが、はっきりとは分かっていないようです。
このお薬の服用で、平均1.38kgの体重増加がみられ、約3年間の投与で3~4kg増加を認める場合があるようです、、、。女性の方は特に気になりますよね、、、
浮腫や心不全がなければ脂肪量の増加(特に皮下脂肪)や食欲が増えたなどが考えられるため、生活習慣を見直して、食事療法にしっかりと取り組んで行く必要がありますね!
浮腫と体重増加をきたす場合にに心不全を合併する確率が高いと言われています。
定期的に心電図検査などを行った方がいいでしょう!
浮腫、急激な体重増加、心不全の症状(息切れ、動悸、胸水等)の変化に注意して異常がみられた場合にはすぐに中止し、診察をするようにしてください。
膀胱癌との関係
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、アメリカで大きな訴訟問題になってましたね、、、
アメリカでは、
「膀胱癌リスクの有意な上昇はないが、総投与量と期間が増加するとわずかにリスクが高まる可能性」という結果がでました。
欧州医薬品局(EMA)もこの点を検討し、欧州の統一方針として回収は不要で、注意喚起でよいとし、米国食品医薬品局(FDA)と概ね一致したものの、 12月時点で仏・独での処方制限は続いています。
では日本ではどのような見解なのか?
日本では「膀胱癌治療中の投与は避ける」と記載されました。
この薬に関しては、この一種類しかない為、代替えがありません、、、。
私の薬局でも基本的には今までと変わらず処方はされています。
このお薬は、とても優秀?なお薬ですが、注意しないといけないこともいくつかありますので、ご自身の体調変化を確認して行くことが大切です!