薬剤師が伝える!『薬との上手な付き合い方』

薬局で働く薬剤師が、地域住民に対して「お薬との上手な付き合い方」という講演会を実施していく中で、お薬を飲まれる方々が『本当に知りたい事』を講演会での質疑を通して知ることができました。その経験から、本当に大切なお薬との付き合い方を、様々な視点からお伝えしていき、安心・安全に服薬できるような情報を提供していくブログです。

糖尿病ってどんな病気?

お薬とお付き合いのある皆さん、こんにちは!

 

今月からは、糖尿病とそのお薬について特集していこうと思います!

 

これから、年末年始にかけて糖尿病の方にはつらい時期?に入りますね、、、。

クリスマス・忘年会・正月・新年会等々イベント目白押しで、食事制限や運動などなど日々頑張っているけれど、「ついつい」や「付き合いだから」などで、生活が緩みがちになってしまうんですよね~(^^;)

私の所の患者さんでも、これからの時期はHbA1cヘモグロビンA1c)や血糖が高くなる方が多いです、、、。

 

ということで、今月からは糖尿病とそのお薬について色々とみていきたいと思います。

 

糖尿病のお薬を服用されている方はご存知だと思いますが、今回は今一度、糖尿病についてお伝えしたいと思います。

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糖尿病の原因

糖尿病とは、食事(炭水化物や糖質)などで摂ったブドウ糖が有効に使われないため、血液中の糖の値(血糖値)が高くなっている状態の事です。

本来だと、ブドウ糖は運動などによってエネルギーとなり消費されるため、血糖値は低くなります。

また、インスリンというホルモンにより、血糖値は一定の範囲内にコントロールされているため、食事や運動をしても血糖値が極端に高くなったり低くなったりはしないように調整されています。

ちなみに、インスリンは膵臓で作られ、血液中のブドウ糖を筋肉や肝臓などに取り込み血糖を下げる働きを持っている唯一のホルモンなのです。

 

糖尿病の種類

1型糖尿病

元々、膵臓が何らかの原因でインスリンを作り出すことができない糖尿病です。

子供や若い方に見られます。

2型糖尿病

いわゆる世間一般的に認知されている糖尿病です。暴飲暴食や運動不足などで、血糖が高い状態が続き、体内のインスリンでは対応できなくなっている状態です。

日本人は遺伝的にインスリン分泌が弱い人が多いと言われている中で、食生活が欧米化してきたり、運動習慣が無くなってきているため、2型糖尿病の方が増えてきています。

糖尿病の予備軍は日本に1000万人いると言われており、非常に問題になっています、、、。

 

ほかにも妊娠糖尿病やお薬による高血糖などがありますが、今回は割愛します。

 

糖尿病の症状

糖尿病は、初期の場合や少し高いかな~位では症状が出ないことが多いです。しかし、血糖が高い状態が続くと以下のような症状が出ることがあります。

・おしっこの量が増える

余分な糖分はおしっことして出されます。当然、水分も一緒に出すため、おしっこの量が多くなります。

・口が渇いて水分をたくさん摂る

おしっこの量が増えるため、当然脱水状態になります。そうなると、たくさん水分が欲しくなるため、普通よりたくさんの水分をとるようになります

・体重が減る

糖がおしっこと一緒に出ていくため、本来エネルギーとなる糖の代わりにたんぱく質や脂肪が利用されるため、体重が減ります。

2型糖尿病の場合は通常太っている人が多いのですが、糖尿病が進行すると、やせていってしまうのです。それは決していいやせ方ではないんですよ!

・疲れやすくなる

エネルギー不足となる為、疲労感が出てきます。

 

糖尿病の合併症

糖尿病には合併症があるというのは聞いたことがあると思います。これは大きく分けて2つの原因によって分ける事ができます。

細い血管にみられる合併症

この合併症の覚え方は「し・め・じ」です!

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・神経障害(し)

手足の先の細い神経が障害を受けることで、手足のしびれ・ほてり・痛みなどが表れます。

・網膜症(網膜=目=め)

網膜の血管が障害を受け視力低下、最悪は失明となってしまいます。

糖尿病の方は、最低でも年に1回の眼科受診をしたほうが良いでしょう!

・腎症(じ)

腎臓にはたくさんの細い血管があります。腎臓の働きが弱くなることで、血圧が上がったりします。症状が進むと、むくみが出てきて体の老廃物が溜まり、腎不全などの命に係わる状態になってしまいます。

こうなると、透析をするしかありません。透析についての詳しい話はまたの機会にご説明するとして、簡単に言うと、人工的に血液をきれいにしなくてはならないという事です。

2日~3日に1度体中の血液を機械に通してきれいにします。これを一生続けないといけないという事です。透析は1回に4~5時間かかりますので、生活もかなり制限されることになってしまいます。

 

太い血管での合併症

この合併症の覚え方は「え・の・き」です

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どちらもキノコですね!

・壊疽(え)

足の血管の動脈硬化によって血流が悪くなるので、最悪の場合、足先が腐ってしまう(壊疽)事があります。その場合は残念ながら切断しなければならないという事です。

また、血糖が高いと傷の治りも悪くなるため、感染症を起こして壊疽する場合もあります。私の薬局の患者さんもまさにこれが原因で、右足切断を余儀なくされた方もいらっしゃいます、、、。

脳卒中(の)

脳梗塞脳出血です。血管が詰まったり、血管がボロボロになってしまうため、このようなことが起こるのです。

手足のまひや言葉が急にでなくなる、物が二重に見えるなどの症状があったら、すぐに主治医に相談しましょう!

狭心症心筋梗塞(き=狭心症

心臓の冠動脈というとても太い血管が動脈硬化によってしっかりと働かなくなり、心臓に栄養や酸素を十分に遅れなくなると狭心症心筋梗塞になります。

胸が苦しくなったり強烈な痛みが出た場合は速やかに救急車を呼びましょう!

 

以上が、糖尿病という病気についての簡単な説明でした。

もし糖尿病と診断されたなら、お薬をしっかり続けるとともに生活習慣(食事・運動)を見直す必要がありますね!

そして、しっかりコントロールしていく事で合併症(「しめじ」「えのき」)にならないようにしていく必要があります。

いずれも、合併症は命に係わる事だったり、たとえそうでなくても失明や切断、透析など、その人のQOLに大きく影響を与えてしまうため、避けなければなりません。

 

次回からは糖尿病のお薬について少しづつ見ていきましょう!

 


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